fc2ブログ

庭園の散歩
拍手返信兼管理人の日記状態。

« 123456789101112131415161718192021222324252627282930»

遊び話5。※名前変換なしで黒蝶ヒロイン。


学校から出て、私は全速力で疾走して師匠の家に来た。

「こんにちは。師匠いますか?」

診療所のドアを開けて中を覗くと電気がついていない。
どこかに出かけたのかと思うが、悩みを話せる人間がいなかったのはちょっぴり残念だった。

「失礼しまーす」

靴を脱いでスリッパを履き、志保は奥へと入っていく。
しばらく歩くと診療所から師匠達が住む居住スペースに入った。
そして、一番大きな扉の前に立って志保はそれを開けた。

ガララ  
中は道場だった。
竹刀や、真剣・防具があるかと思えば道着や薙刀も置いてある。
シンと静まりかえった冷えた空気は志保の心を落ち着かせた。

一本の薙刀を手に取り、基本の型をこなしていく。

私の罪。
私はボールで人を傷つけた。
勿論ワザとではない。
しかし、彼女の大切なものを奪ったことには変わりなかった。

「許される訳がない」

アナタの所為よ!

彼女の母が言ったその言葉は正しい。
私が詩奈をソフトに誘い、そしてこの手で傷つけた。
私がいなければそんな事にはならなかったのだ。

ヒュッ

薙刀の切っ先が風を切る。

「なってないな」
「お帰りなさい師匠。お邪魔してます」

扉から叱咤する声が入ってきた。

「志保。私が言いたい事は何だと思う?」
「……過ちだと気づいたなら、修正するために全力を尽くせ」
「そうだ。お前の修正はしたい事を封じる事だと私に言ったな?
今でも本当にそう思ってるのか?」

志保は、肯定も否定も出来なかった。

「志保、やりたい事は何だ?
私に弟子入りしたのは何の為だ?」

師匠の問いかけは続く。

「強くありたいと願ったのは本当にお前なのか?
女であっても負けない術を教えて欲しいと言った
水樹志保なのか?」

「そうです」

はっきりと志保は答えた。
それだけは間違いないから。

「なら、もう1度確かめろ。
自分の足下も自分の上にあるものも、横に存在するものも」

志保の目頭に透明の水が溜まる。
こぼれないように、ただ耐える。

「……私は、詩奈に会いたいです。
謝りたいです。
また、私の球を受けて欲しいです」

「家には私から言ってやろう。
行ってきなさい、志保」

「はい!!」

カランと薙刀を放り出して廊下を走っていった。

「まったく、世話の焼ける弟子だ」

行ってらっしゃい。
あの瞳を取り戻す為に。
怯えても、怖くても前を見るあの瞳を…。

続く。
※ここから先は本編“はじまり”と同じなので飛ばします。

*+*+*+*+
拍手返信
19:48 なんでヒロインさんは沖くんの霊が見えるんだ・・・!?
管理人「本人に聞きます。どうしてですか?」
ヒロイン「私の母さん、紗耶は霊感が強かったらしくて、私も見えなくはないんです。ただ見える日と見えない日があったり差が激しいです。
沖君のはずいぶん大きいのでクリアに見えましたね」
管理人「って事だそうです。ちなみに水樹父はそういうのには鈍感だったみたいです」

2006.04.19 / 小話 / TB(0) CM(0) /
HOME
Photo & Template by days*